8月13日から15日までお盆休みです。

実際の抗体価

ワクチン接種が進むにつれて、「ワクチンを接種したけれども抗体はちゃんとできているの?」ということに疑問を持つ方が増えてきています。当院では7月ぐらいから抗体価の検査(自費)を本格的に開始しまして、今までで、約180人ぐらいの方の抗体価のチェックをおこなって参りました。

抗体検査を受けられた方の参考になればと思います。

院長

最初の頃は、抗体価自体がメジャーじゃなかったため、ワクチンを接種したらこれで大丈夫と思っている方も多かったのですが、3回目の接種の問題が出てきたり、2回接種をしても感染したという話題という話題が出てくるようになって注目をされるようになってきました。

抗体価とは?

簡単に言いますと、ワクチンの接種した後にちゃんと新型コロナウイルスの感染を防ぐだけの抗体ができているかどうかみるための目安です。

どれぐらいの抗体価があれば十分なのでしょうか?

一応、ウィルスの侵入を防ぐための中和抗体の目安として4,000〜5,000ぐらいの抗体価があればいいのではと考えています。

抗体価って減るんですか?

明らかに、時間とともに減っていきます。

自分自身の抗体価も6,000→2,000に低下していました。約2ヶ月で抗体価がここまで下がるのはある意味驚きですね。

あれだけ副反応があるかもとドキドキしながら接種して、この抗体価の減少は、、、、ですね。

院長

当初、十分な抗体価があれば、感染自体を予防することができていましたが、現在は、抗体価自体が高くても感染を起こすようにウィルスが変化していまいました。

ファイザー社製ワクチン接種後の抗体価になります。

  • 時間の経過とともに抗体価は下がってきます
  • 接種後からの時間はまちまちです。(だいたい1ヶ月後ぐらいの人が多いです)
  • 年齢も、まちまちです。
  • 40人前後の方のデータを参照させていただいています

一応、十分な抗体価がありますよってお伝えするのは5,000ぐらいを超えているときにしています。

ファイザー製ワクチンによる抗体価について

  • すごく抗体価の低い人が中におられます
  • 全体的にモデルナ社製ワクチンよりも、すこし抗体価が低い傾向
院長

いままで、行ってきた抗体検査の結果をまとめていまして、モデルナ社製ワクチンではみられない、極端に低い抗体価の方がファイザー製ワクチンの場合は見られる印象でした。原因はよく分かりませんが、、、

ファイザー製ワクチンの抗体価の低下

ファイザー社製ワクチンを2回接種後の方で、経過した日数での抗体価の平均値をまとめてみました。

ある一定の人の抗体価を経時的に計測しているわけではなく、あくまでも接種後からの日数の平均ですのでばらつきがあります。

  • 時間の経過とともに急速に抗体価が減っていくのが分かります
  • 60日を過ぎますと、最初の抗体価の1/4程度まで低下してきています
院長

現在は、3回、4回、5回と接種回数が増えていますので、比較的抗体価が維持されている方が多いと思います

モデルナ社製ワクチン接種後の抗体価

当院では、モデルナ社製ワクチンの接種は行っておらず、だいたいは大規模接種会場などで接種をされておられます。ですので、すこし対象の人数は少なめで20人ぐらいの方を対象にデータを参考にさせて頂いています。

モデルナ社製ワクチンの抗体価の低下

ファイザー社製ワクチンと同様に、抗体価を測ったタイミングでの接種後の経過日数での抗体価の平均値を用いています。

60日以上の対象の方は、モデルナの場合は極端に少ないため参考程度と考えてください。

  • ファイザー社製ワクチンに比べて、モデルナ社製ワクチンの方が、最初の抗体価が高い印象があります
  • 投与後40日ぐらいまでは、抗体価の減少は緩徐です
  • 40日後もある程度の抗体価が維持されている
  • 今後60日後の方の抗体価の測定が増えてくれば、モデルナの方が長期的に効果が持続する可能性がある

新型コロナウィルス感染後の抗体価について

コロナウィルスに感染した方が、「抗体価がどうだろう?」と思って、抗体検査を行う場合があります。

感染した場合の抗体価はワクチン接種よりも低く、どんどんと抗体価が下がってきます。

院長

感染=ワクチン接種1回分みたいな捉え方でよいと思います。自然に感染をしても感染後3〜4ヶ月後には、また自然に感染します。

ファイザーかモデルナか

実際の抗体価を見ていただくと、ファイザーとモデルナでは少し違いがあることが徐々に見えてきています。

  • ファイザーは副反応は少ないが、抗体価がすこし低い傾向がある
  • モデルナは副反応の問題があるものの、比較的抗体価が高くなりやすい
院長

当初は、どちらのワクチンが副反応が少ないか?ということが話題になっていました。

抗体価と感染について

抗体価を積極的に測定して、実際の接種後の方々の抗体価と接するようになりいろいろと考えさせられます。

  • ワクチン接種により重症化が抑えられている事実
  • ワクチン接種後の感染の場合の抗体価の変化
  • 抗体価と感染の関係性

ワクチン接種と重症化

当院では、65歳以上の方のかかりつけの患者様のワクチン接種を早々に終了しております。今回の第5波と言われる大流行がありましたが、患者様本人の感染予防はもちろんのこと、ワクチン接種のおかげで、今のところ、高齢者でコロナワクチンに感染されたかかりつけの方はおられません。ただ、実際の抗体価を見てみますと、当初の接種からぼぼ2ヶ月ぐらいを経過しており、当院で接種しているファイザー社製ワクチンの効果は結構下がっているのではないかと思ったりもします。今後、第6波といわれるような、新たな感染の波が訪れた場合、現状の抗体価で防げるのかどうか?検証する必要があると思います。

ワクチン接種後、感染した場合

当院では発熱外来もおこなっており、この第5波の間に、たくさんのコロナウィルスに感染された方の診察もおこなって参りました。正直、自分も多少感染して、そのウィルスの侵入により抗体価が以前よりも上昇しているのでは?と思って、抗体価のチェックをおこなってみましたが、結果は1/3に低下しているという結果でした。

抗体価を測る方の中には以前の感染の既往の方はおられますが、ワクチン接種後の感染の方はおられません。実際、コロナ病棟ではそういう症例もあるとは思いますが、接種後、感染した場合に抗体がどれぐらい増えるのだろう?とすこし興味があります。

抗体価と感染の可能性

「抗体価は減少するもの、だから3回目の接種が必要」、現在の認識は、そのようなものと理解をしています。しかしながら、このワクチンの副反応を考えますと、3回目のワクチン接種はちょっとと思われる方も多いと思います。(特にモデルナのワクチンは副反応がつよい印象です)

今のところ、感染予防の根拠となっているのがスパイクタンパクに対する抗体価(当院で計測している抗体価)ですが、その数値と実際の感染のしにくさについての検証も今後、見ていきたいと思っています。

この記事を書いた人

奈良県立医科大学卒業
2001年 奈良県立医科大学 第2内科学教室
(現在、呼吸器・アレルギー・血液内科及び感染症センター)
2007年 岸和田盈進会病院(岸和田リハビリテーション病院)にて喀血の治療に携わる
2015年 医療法人 慈光会 中谷医院