10月15日からインフルエンザワクチン接種を開始します

PCR検査の実施状況

PCR検査件数が上昇中

感染者の上昇とともに、当院へのPCR検査の問い合わせも増えてきており、徐々に実施件数も増えてきております。

8月8日の週は8月9日と10日の二日間で13件のPCR検査をしています。

PCR検査について

当院のPCR検査は、島津製作所のPCR検査機器を利用して検査をおこなっています。

機器の特徴は

  • 3時間ぐらいで結果をだすことができる
  • 4件/回の検査をおこなうことができる
  • メンテナンスはまあまあたいへん

といったところですが、件数が増えてきますと、2回、3回と回さないといけなくなるため、時間的に診療時間を超えてしまって、大変なことになる(笑

[st-kaiwa1]ということで、夜診の時間帯には検査は行えませんので、心配な方はできるだけ早い時間に起こしください。現実問題として、1日2回まわす(合計8件/日)ぐらいが限界でしょうか?[/st-kaiwa1]

 

陽性率も上昇中

感染者が増えているのはPCR検査を行っているとよく分かります。

表のように、新型コロナウイルスの陽性率も上がってきており、今後もこの傾向が続くことが考えられます。

どんな症状の問い合わせが多いのか?

よくある問い合わせ

  1. 発熱
  2. 咳、喉の痛み
  3. 陽性の家族の方との濃厚接触

やはり、発熱を主訴に電話で連絡をいただく方が多いです。また、保健所の方も手一杯なので、当院で検査を受けることができるということで紹介していただく場合も多くなっています。

あと、家族の方が陽性の場合は、症状がなくても陽性になる方が多くなる印象です。受診の時に特に発熱がなくても、その後、症状が出てきますと発熱、呼吸苦などが出現することが多いので十分に気をつけて頂ければと思います。

新型コロナウィルスの陽性になってからの流れ

まずは、PCR検査を行います

当院では、できるだけ院内での滞在時間を短くしていただくために検査後は、速やかに自宅に帰っていただき、検査の結果を待っていただくような形を取っています。

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もちろん症状に応じて、解熱剤・鎮咳剤・去痰剤の処方を行っています。また、同時に院内で採血を行い、細菌感染が疑われる場合は抗生剤投与を行っています。

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新型コロナウイルス陽性の場合は当院より保健所に連絡

当院より保健所に新型コロナウイルスの発生届を提出します

保健所からの連絡

今問題になっているのが、この保健所からの連絡時時間がかかってしまう問題です。

問題点

新型コロナウイルスの場合、通常の診療所・クリニックで処方出来る薬は、解熱剤や鎮咳剤、去痰剤など、対症療法の薬しか処方することができません。

しかしながら、新型コロナウイルスに感染した場合、当初は発熱だけであっても、徐々に肺炎に伴う呼吸苦が出現して症状が悪化してしまうことがあります。

通常時では、保健所の対応もスムーズなのですが、今のように患者さんが増えてきますと個別の対応に時間がかかるようになり、保健所から連絡が来る前に重症化してしまうという問題が発生してしまいます。

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この時間の空白を埋めるために、新型コロナウイルスの診断をした診療所・クリニックが、サポートをしていきましょうというのが最近の話題ですね。

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時間による振り分け

ゾーニングは難しい

病院で行われているような、ゾーンを分けての診察は基本的に診察場所が限られている診療所やクリニックでは難しいと思います。広いクリニックであればできるとは思いますが、、、ですから、当院では時間帯を分けることにより、できるだけ普段の患者さんと接触しない様な形での診察、処方までを行っています。

院内処方の利点

当院は院内処方ですので、診察→処方までが院内で行うことができますので、内服を処方後、処方箋をもって薬局に行くことにより感染が広がる可能性も低くなると考えます。

64歳以上のワクチン接種率はほぼ100%

当院かかりつけの高齢者の方は、ほぼ100%の方がワクチン接種を終了しています。時間帯を変更するだけでなく、もしもの感染のリスクがあったとしても、高齢者の方はワクチンにより重症化が予防されており、より安全に新型コロナウイルス陽性の方であっても診察を進めて行くことができると考えています。

今後の課題

一番の問題は感染者の増加

やはり感染者が増加することにより、保健所の対応能力が低下することが一番の問題です。今でも患者さんに「保健所からなかなか連絡が来ない」という連絡を受けることが多くなっており、診断を受けてから治療に至るまでの間に、どうしても空白の期間が出現してしまうことが問題です。

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診断を行ったクリニック・診療所が対応する形にはなっていくとは思うのですが、深夜など夜間のときにどのような形で対応していくか?など課題は山積だと思います。

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大阪の夜診

大阪って少し特殊で、当院もそうですが、19時半まで夜診という外来診療をしています。実はこのシステム、東京などの他の都道府県だと、午前診、午後診という形で分かれていて、夕方には診療所・クリニックは閉まってしまいます。

大阪は夜診がある分、夜診帯までの対応をすることにより20時ぐらいまではなんとかなるでしょうが、夜中はさすがに寝ないと次の日が大変ですから、、、

病院を探すのは困難

新型コロナウイルス陽性の患者様の状態が悪化して、挿管、人工呼吸器装着が必要な状態になった場合、受け入れてくれる病院を探すのは至難の業になると思います。

周りの病院の環境

  • すでに多くの病院で重症の患者さんを受け入れており満床状態
  • 診療所・クリニックではどの救急病院が空いているのか情報不足
  • スタッフは一つ一つの病院に順番に当たるため、時間がかかる

状態が悪化してからの時間の余裕があまりないため、救急要請が必要になります。

バックアップ体制が必要

  • 新型コロナウイルスの外来での診断
    • 現在、当院で行っているような発熱などの症状ある方を診察、PCR検査で速やかに診断を行う。
  • 保健所への連絡
    • 患者数が多くなってくるとマンパワー的に滞ってしまい、本来の迅速な対応ができなくなってしまう。
  • 診断後のフォローアップ
    • 今後の課題として、保健所を通さない場合の診療所・クリニックによるフォローアップ体制
    • 夜間(夜中の対応)が問題
    • 受け入れ先となる病院の選定
    • 患者数が多くなってくると、これもマンパワーが足りなくなってくる。
  • 重症化したときのスムーズな入院
    • 満床の場合はなかなか入院を受け入れることが困難
    • これも、患者数がさらに状況は悪化していくのみ
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感染者が増えてきますと、感染者×重症化率ということで、余裕のある対応が困難になってきます。本来であれば、最初の段階でもうすこし計画的なワクチン接種の工程表などがあれば良かったのですが、、、、

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今後もワクチン接種が最重要

お盆明けから、ワクチンの供給が少し増えるため、再度仕切り直してワクチン接種を再開していく予定です。

この記事を書いた人

奈良県立医科大学卒業
2001年 奈良県立医科大学 第2内科学教室
(現在、呼吸器・アレルギー・血液内科及び感染症センター)
2007年 岸和田盈進会病院(岸和田リハビリテーション病院)にて喀血の治療に携わる
2015年 医療法人 慈光会 中谷医院